最終回:日本人のDNAに刻まれている精神的な豊かさと幸せ(江戸編)

いままで7回にわたって、世界の様々な幸せをお伝えしてきましたが、最後に取り上げる国は日本です。ワールドハピネスレポート2017では51位とあまり上位ではないイメージがある日本ですが、約150年前の江戸時代の日本は、世界からも人類史上、最もユートピアに近かったと言われるほどの幸せの国でした。その中でも、世界からも注目された大都市江戸にフォーカスしてみたいと思います。

江戸の基本データ

時代劇などでは、なじみ深い江戸の様子ですが、改めて掘り下げてみると、そのすごさには驚かされます。

・世界最大の過密都市
江戸の町は、世界最大の過密都市でした。江戸の人口は、1746年には120万人を超えていたそうです。ヨーロッパ最大の都市ロンドンでも約70万人、ニューヨークでも約2万人なのと比べても江戸のすごさがわかります。

・世界一のインフラ
総延長150kmの世界一の大水道網が敷かれ、当時の土木技術は世界最先端のハイテク技術だったようです。

・教育
武士はほぼ100%、庶民でも50%以上は読み書きできたそうで、その識字率は世界一だったそうです。

・経済
1603年から1868年まで265年間の江戸時代のうち、前期は人口が増加し、インフラも整備され、GDPも増加した高度成長の時代でしたが、後期は人口やGDPの成長よりも、食文化や芸能など多様な文化が栄えた時代でした。このエキサイティングで魅力的な町で江戸の庶民たちはイキイキと、幸福な生活を送っていたといわれています。

当時の外国人の印象

江戸時代がいかに幸せだったかは、当時の外国人の記録からも読み取れます。

黒船で来航したペリーは、日本人の様子については「人々はみな幸福そうで満足そう」だと感じ、また、あらゆることで批判的だったイギリスの公使、オールコックでさえ、1859年に来日した際には、「日本人は、いろいろな欠点をもっているとはいえ、幸福で気さくな、不満のない国民であるように思われる」と語った記録が残っています。

さらに、幕末に来日したアメリカの総領事タウンゼント・ハリスも「彼らは皆よく肥え、身なりも良く、幸福そうである。一見したところ、富者も貧者もいない。これがおそらく本当の幸福の姿なのだろう」と書き残しています。

決して、ぜいたくや富を誇示するような様子ではありませんが、欧米人の眼には、日本の平和さや豊かさが伝わったようですね。

なぜ、江戸が幸せなのか ~精神的豊かさ

では、なぜ、ここまで。江戸時代は幸せ度が高かったのでしょうか?

調べてみると、なるほど!と思わせる江戸の特徴を発見することができました。

・エコ&リサイクル社会
欧米が環境度外視で、エネルギー資源を大量に消費する一方で、江戸時代の日本は、まったく対照的だったようです。国内の資源と太陽エネルギーを巧みに利用し、ほとんど無駄を出さず、ほぼ完全な循環型社会を築き上げ、きわめて平和に暮らしていました。

必要なものは常にあるという発想で、日用品は、使えなくなっても捨てずに回収し、使い古しを新品に生み変え、ゴミも肥料と燃料に再利用していたようです。

・「稼ぎ」と「務め」
また、江戸時代の仕事には「稼ぎ」と「務め」の2種類があったようです。「稼ぎ」は、お金を得るための仕事で、「務め」は地域コミュニティのための仕事です。「務め」では、ご近所の屋根が壊れたらお手伝いしてあげたり、困ったことがあるとお互い助けあうことが日常茶飯事だったようです。そして、労働時間も日の出と日の入りまでに限られ、休憩時間も長く、現代のように残業もなく、また、どちらか一方に偏ることなく、この『稼ぎ』と『務め』をバランスよくこなしていたようです。特に、「務め」による、地域コミュニティーが発展していたことが、幸せ度につながっていたようです。

・「長屋ぐらし」と「食料自給率」
上下水道、トイレ完備の長屋暮らしで持ち物も少なく、冷蔵庫もないため常に旬の食材を食べ、とても健康的だったようです。また、現在の日本の食料自給率は40%を切っていますが、江戸時代の食料自給率は100%以上あり、自給自足を実現していました。

・所得
本当に必要なもの以外は持たず、比較的質素で、まさに、「足るを知る」が実践されていたようです。また、月の半分も働けば妻や子供を養っていけたようで、家族と時間も大切にして、幸せに暮らせたそうです。

・火事
江戸時代の265年の間に、江戸の人たちは、平均年2回のペースで大火事を経験したようです。そして、火事のたびに大切なものが奪われるという理不尽なことが日常のように起こっていたようなのです。だからこそ辛い状況でも起こったことを悔やむのではなく、気持ちを入れ替えて毎日を充実することにフォーカスするタフなメンタリティがあったようなのです。

災害都市の江戸を何度も復興することができたのも、このメンタリティーがあったからこそと言われています。

このように、江戸時代の生活は、自然にも人にもとても優しかったことがわかります。そして見かけよりもはるかに豊かだったようですが、その幸せ感は、物質的な豊さというのではなく、精神的な豊かさにあったようですね。

そういえば、日本の野球界のレジェンドの長嶋茂雄さんが、学校の英語のテストの際に“I live in Tokyo”(私は東京に住んでいます)を過去形にするという設問に対して、 “I lived in Tokyo”(私は東京に住んでいました) と答えずに、“I live in Edo”(私は江戸に住んでいます)と答案に書いたという笑い話があります。ユーモアあふれる江戸の人が聞いたら、きっと喜ぶでしょう。

毎年、6〜7か国ほど海外に行く機会がありますが、帰国する度にいつも思うのは、やはり日本は本当に素晴らしいということ、そして、日本に生まれてきたことに幸せを実感します。ワールドハピネスレポート2017では日本は51位でしたが、世界の中で、むしろ日本が一番幸せな国なのではないかと思います。

かつて、日本は、ユートピアと言える素晴らしい江戸時代を築きました。われわれ、日本人には、その先祖の幸せDNAが宿っていると思うのです。

日本が幸せを感じられないのは、ある意味、幸せに鈍感になってしまっているだけで、幸せなことを思い出すだけでも、幸せを実感できるのではないかと思います。

最後に、私の恩師から教えてもらった、「幸せ」についてシェアさせていただきます。

「幸せ」はつかむものでも、なるものでもなく、「幸せ」は感じるもの。「幸せ」を感じることでそこに幸せが生まれます。だから、日々、幸せであることを感じる時間を作ることがとっても重要ですよ。

1日のうちに、幸せを実感するぼっーとする時間がつくれれば、それは、きっと最幸な時間になりますよね。

全8回にわたり、お読みいただき誠にありがとうございました。

2018年3月18日(日)のハッピーデーでは、たくさんの幸せを感じられるイベントが企画されています。私も今回のコラムと連動して、同日に慶応義塾大学三田キャンパス南校舎で開催される第2回shiawase2.0シンポジウムで、「幸せの法則と幸せの方程式」というテーマで講演させていただく予定です。詳細は こちら

ハッピーデーのイベントでご一緒できること楽しみにおります!!

(幸せ冒険家 小泉大輔)